勘違いしている人が多い、摂るべき脂質

人間の体は食べたものから出来ています。ダイエットをする時、大体の方が食品のカロリーを気にするのではないでしょうか。そのカロリーはタンパク質・脂質・炭水化物の、三大栄養素から成り立っています。それぞれ1gあたり、タンパク質が4kcal、脂質が9kcal、炭水化物が4kcalです。カロリーを気にするということは、その三大栄養素を避けて通ることは出来ません。糖質制限ダイエットが流行り、次に注目されているのが脂質制限ダイエット(ローファット)です。昔から存在するダイエット方法ですが、糖質制限ダイエットに比べて空腹感なく行え、リバウンドが少ないなどの理由で注目されています。糖質、脂質といった、栄養素に注目したダイエット方法でも、バランスは重要です。常にPFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物)を意識する必要があります。今回は、三大栄養素の脂質の役割について掘り下げ、脂質の種類、脂質制限ダイエット等についても触れていこうと思います。

脂質って何?

脂質と聞いてどんなイメージが浮かぶでしょうか?三大栄養素の中でも一番カロリーが高く、揚げ物、ジャンクフード、ダイエットの敵、お腹の脂肪など、そういったイメージを浮かべる人が多いと思います。どちらかというと悪いイメージが先行しがちです。そんな脂質ですが、人間の体にとって重要な栄養素なんです。脂質は三大栄養素の中で一番カロリーが高いので、摂りすぎると肥満の原因になりますが、最も高いエネルギーを得ることが出来ます。脂質は重要なエネルギー源だけでなく、ホルモンや細胞膜、核膜を構成したり、皮下脂肪として臓器を保護したり、体を冷えから守ったり、脂溶性ビタミン(A.E.D.K)の吸収を促すなどの役割があります。

そのため、脂質が不足すると脂溶性ビタミンがうまく吸収されません。その結果、肌が荒れたり、髪のパサつきが起こります。その他、精神面が不安定になったり、単純なエネルギー不足、場合によっては身体の発達に障害が出る可能性があります。脂質にはこういった役割があるため、脂質制限ダイエットであっても、必要最低限は摂る必要があります。

脂質の種類に注目

1つに脂質と言っても、種類があり、それぞれ特徴があります。脂質は単純脂質、複合脂質、誘導脂質の3種類に分類され、その脂質を構成している重要な要素が脂肪酸です。脂肪酸にも多くの種類があり、どんな脂肪酸が含まれているかによって性質が変わってきます。その性質を理解した上で、脂質の摂取をすることが重要です。

➀飽和脂肪酸

常温で個体の脂質。お肉や乳製品など動物性食品に多く含まれ、摂りすぎると悪玉コレステロールや、中性脂肪を増やしてしまうので、注意が必要です。飽和脂肪酸の中でも種類があり、短鎖、中鎖、長鎖と分けられます。ほとんどが長鎖脂肪酸ですが、中鎖脂肪酸は分解されるのが早く、短時間でエネルギーになります。そのため余計な脂肪として残りにくいです。ココナッツ・パーム油やそれらを主成分としたのがMCTオイルで、これらは中鎖脂肪酸になります。

②不飽和脂肪酸

常温で液体の脂質。植物油や魚油、大豆油に多く含まれ、さらに一価不飽和脂肪酸(n-9系脂肪酸)と、多価不飽和脂肪酸(n-6系、n-3系)に分けられます。
n-9系脂肪酸の代表的な脂肪酸としてはオレイン酸で、オリーブ油などがあります。
n-6系脂肪酸の代表的な脂肪酸としてリノール酸があり、大豆油、コーン油があります。
n-3系脂肪の代表的な脂肪酸としてはαリノレン酸があり、青魚、えごま油、亜麻仁油があります。
αリノレン酸は体内に入ったあと代謝されてEPA・DHAになります。不飽和脂肪酸の多くは悪玉コレステロールや中性脂肪を下げる働きがあり、特にDHAは脳の活性化に効果があると言われています。

このように、同じ脂質でも性質や効能は異なってきます。飽和脂肪酸は日常的に摂取する機会が多いので、ある程度制限し、不飽和脂肪酸であるお魚を摂取したり、調理でオリーブ油を取り入れるなど、バランスよく摂取するのが理想的です。またトランス脂肪酸という、人工的に作られる脂肪酸があります。マーガリン、ショートニングなどが有名で、洋菓子やインスタント食品、揚げ物に使われることが多いです。悪玉コレステロールや中性脂肪を増やすので、なるべく避けるべきで、国によってはトランス脂肪酸を禁止したり、制限しているところもあります。

脂質とはどういう役割があり、脂質の種類、摂るべき脂質は何が良いかということが、ここまでである程度分かったと思います。では次に脂質制限ダイエットについて触れていきます。

脂質制限ダイエットをやるには

一般的なPFC比率は(15:25:60)くらいで、脂質制限ダイエットでは脂質の割合を20%以下にします。1日2500kcalで脂質が20%の場合、脂質は56gとなります。10%にすると28gになり、30g以下となると、意識して脂質制限しても難しくなってきます。例えば、ポテトチップス1袋で35gの脂質があります。脂質制限ダイエットの場合、揚げ物、菓子パン、洋菓子などは基本NGです。その他の食品でも、例えばお肉でも低脂質な部位を選んだり、低脂質に調整された製品を選ぶ必要があります。脂質は制限する必要がありますが、脂質制限ダイエットは炭水化物はしっかりと摂ることができ、低脂質なものであれば、お肉も摂ることができるので、糖質制限に比べ空腹感なく行えます。ダイエットの場合、個々に合わせたカロリー設定をした上で、脂質を制限していきます。人によっては、厳しくカロリー制限をする必要があるため、その場合の空腹感は仕方がありませんが、糖質制限よりは感じにくいでしょう。脂質制限の場合、体重が落ちるスピードは比較的ゆっくりですが、筋肉量が落ちにくく、リバウンドもしにくいのが特徴です。また、コレステロール値の低下など、血液改善効果も期待できます。

では脂質制限中にオススメの食品を紹介していきます。

・プロテイン
・牛、豚のヒレやモモ肉
・鶏むね、もも(皮なし)、ささみ
・かつお、マグロ赤身、白身魚、いか、たこ、えび、貝類、ツナ水煮
・低脂肪ヨーグルト、ギリシャヨーグルト、低脂肪牛乳、カッテージチーズ
・玄米、そば、うどん、ライ麦・フランスパン、ベーグル
・ノンオイルドレッシング

などです。野菜、果物、きのこ、海藻類は基本OKです。大豆類の脂質は、高くはないですがそれなりにあります。鯖などの青魚も脂質は高め。ですが、先ほどもお伝えした通り、大豆や青魚の脂は健康的な効果があるので、摂り過ぎない程度に取り入れていきましょう。加工品やお弁当、お惣菜などを購入される際は栄養成分表示を見て脂質量をチェックすると、1日の脂質量が把握できていいですよ。また、数字だけをみて判断するのではなく、栄養学的側面も視野に入れてダイエットを行うと良いでしょう。

いかがでしたでしょうか?脂質も人間にとって重要な役割を持ち、摂り過ぎは不健康へと導きますが、重要な栄養素です。また、脂質の中でも良い脂質と悪い脂質があり、それらを知った上で量を調整していく必要があります。また、エネルギーというのは、常にタンパク質、炭水化物と隣り合っており、PFC比率が存在することを忘れてはいけません。 ぜひ参考にしてみてください。

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